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【ColoRfuLL】
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rl02

magnet@流星Pの曲が素敵だったので双子でカヴァー。
なんだって弟が受けくさい顔になるのか…。

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l01

共作キャラがだだ被ってるのでクロスオーバー。

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r01

共作キャラがだだ被りなので敢えてクロスオーバー。

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rl01

レトロジカルロマンのめいさまとの共作の双子。
双子のくせに私の手に掛かると全く似ないというマジック。

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覗き込んだ水鏡のその奥に別の顔が在った。

僕ではない誰かの、僕と同じ顔が。

僕はすっと水面に手を伸ばした。すると其れは逃れるかのように深い水槽の底へと沈んで行った。

鈍銀(にびぎん)の尾鰭を翻して、よく澄んでいるが故に深く、昏い、見通すことのできない水槽の奥へと。

弱光に照らされ、透き通る程蒼白な肌を浮かび上がらせた其れは、紛れもなく人魚であった。





†     †     †     †     †



《人魚を入手しましたので、お近付きの印としてお納め下さい。敬愛するロイド卿―――》


送り状には流麗で繊細な文字でそう記されてあった。

黒い便箋に銀色のインクで。

差出人は書かれていない。便箋と同じ黒い封筒を封じた蝋の紋章も見覚えが無い。

緑色の蜜蝋には魔物である雄山羊の頭(ヴァフォメット)の紋が捺されている。

これ程までに悪趣味な紋章を使う知り合いなど居なかった筈なのだが、その宛先は僕――ガブリエル=ロイド。通称セブン。個体識別名、レオナルド。


僕は一面の壁に填め込まれた水槽を見遣った。

人魚姫は、上半身程もある尾鰭を揺らめかせて水中に浮かんでいる。

光源は水槽の中の10基だけ。弱い明かりは水とガラスを透して暗い地下室を蒼く照らし出す。

水槽に面した右隅に備え付けられたソファに体を横たえると、座面の革がギチリと軋んだ。

右腕を枕に、便箋を持った左腕を背凭れに預けて、何度となく読み返した文面を眺める。





この手の手紙もいい加減見飽きた。

まず、人魚を入手したとは如何なることか。

答えはオブジェか何か。若しくは【生きている人魚】。

其れならば何処かから密輸した保護指定付きの哺乳類に違いないが、生憎此処は動物園ではないのでジュゴンは引き取れない。

或いは何処ぞの酔狂な科学者(マッドサイエンティスト)が非合法な実験を重ねて造り出した、所詮人魚とは名ばかりの醜い合成獣(キメラ)のことだろう。

勿論、この僕がそんなものに出資する価値など微塵も無い。

そんな技術は既に珍しいものではないのだ。



目を閉じてガブリエルに思いを馳せる。

あいつが死んでから―――僕がガブリエルに成ってから1年が経とうとしている。


彼は母上が溺愛して止まない息子であった。

彼女と同じ柔らかな金髪、すっきりとした顔立ち、透き通った藍玉の瞳は彼女の愛する夫、チャールズによく似て、まるで人形のようだった。


彼は理想的な子供だった。

聡明で社交的。溌剌として礼節を弁えていた。


そんな彼だが、ひとつ病気を抱えていた。

脳が破壊されていく病気だった。原因も治療法も未解明である。

快活だった彼は年を重ねる毎に知能が退行し、さながら獣と化していった。

そうなったガブリエルを、母上は変わらず愛することが出来なかった。

そうしてガブリエルは「処分」された。

誰も居ない窓すら無い、密閉された部屋の中でその短い10余年の生涯を終えた。


否、終わらせられた。

殖え過ぎた愛玩動物の様に、嘗て浄化の名の下に歴史の隅に追い遣られた罪無き民族の様に、致死性のガスを部屋に充たされて。

早く楽にしてやりたかった、長い苦痛を与えたくなかったと言えば聞こえはいいが、所詮は個人のエゴに因って生み出された悲劇。

そして彼の更なる悲劇は、母上が既に【次の】ガブリエルを愛でていたという事実。

母上はガブリエルが異常をきたした当初から代わりの息子の製作を委託していたのだ。



これが僕が知りうる【僕の原型】(オリジナル)の全てだ。

残っていた資料と研究室から導き出した答え。





だらしなく寝相を変えて、白いテーブルに散らばった資料の上に無造作に置かれたグラスを取る。

中身はストレートのウイスキーだ。

半分だけ上体を起こして、温いそれを口に含む。

傾いた体では受け止め切れなかった滴が口の端から零れ落ちたが、わざわざ拭うことはしなかった。

たった一滴でも彼(あれ)に何か変化が有るのならそれはそれで面白い。

そんなことを思ってクスリと口元に笑みを浮かべたとき、巨大な水槽の分厚い硝子を叩く音が聞こえた。

この部屋でペチペチとくぐもった小さな音を立てるのは彼(あれ)だけだ。

僕は、さも相手をするのが億劫だと示す様に、のっそりと背凭れに手を突いて体を起こした。

人魚姫は口を尖らせてこちらを睨んでいる。


彼(あれ)は基本的に自分の主張しかしない。


ゆっくりと起き上がると先程の便箋を封筒諸とも火を点けて灰皿に放った。

黒い紙は舐めるような炎に包まれ、音も無く白い灰と化した。

其れを見届けた僕は水槽の前を横切り、左サイドに設けられた水槽の管理口に続く階段を上る。

白塗りの金属の踏板がカンカンと軽快な音を立てた。

飾り気の無い簡素な階段を上り切り、80糎(センチ)四方の透明な蓋の前に立つ。

そこには既に先回りしていた人魚姫が居り、鍵が開くのを待ち構えていた。

僕はアナログ極まりない、何の細工も施されていない金属製の無骨な鍵を鍵穴に差し込み、焦らす様にゆっくりと回した。

カチャリとロックが外れると、間髪空けずに外開きの蓋が内側から押し開けられた。

水面に顔を出した人魚姫がにっこりと微笑う。

下から差す微光は其れを青く照らし出して、僕と同じ貌を妖艶な表情へと加工する。

僕は誘(いざな)われる様に大きく開かれた管理口の淵に跪いた。

人魚姫は両手を伸ばす。

その意図が判った僕は、大人しく人魚姫に顔を寄せた。

青白い、細い、冷たく濡れた指が、掌が、僕の頬を捕らえる。

透明な強化プラスチックの床の縁を掴んで、覗き込む様により水面に近付く。その先には僕と同じく顔を寄せた人魚姫が居る。

そして薄く唇を開いてチロリと見せる紅い舌を僕の頤に這わせた。

瞬間、其れは顔を顰めてほんの少し距離を取った。

これはウイスキーの味はお気に召さなかったようだ。たったあれしきの量で味が判ったのかは不明だが、これの舌は子供だ。


僕が懐に手を入れて取り出したのは、ゼリー状の物体が入った簡易チューブ。

彼(あれ)の食事用チューブである。

これは消化器官が弱く、固形物が摂取出来ない為だ。

蓋を開けて中身を少し失敬する。甘く、微かな苦味と酸味が同居する、例えるなら俗に云うママレードに近い味。

甘味はそれ程強く設定されてはいない筈だが、僕にとっては甘過ぎる。


そんな分析をしていると、不意に強い力で腕を引かれた。

痛みは無い。

僕は引かれるままに水槽の中へとダイブする。体中に纏わり付く衣服の感触が水に因って鮮明になった。

気持ち悪い。

体が重い。


人魚姫は僕の手からチューブを引ったくり、それを呑んだ。

愉悦に眇められる眼と喜色に彩られた横顔にぞくぞくと肌が粟立つ。ゴクリと喉を鳴らすと彼はぐるんとこちらを向いた。

まだ僕の口の中には甘い味が溜まっている。

チューブを放り出し、スイと近付いて来た人魚姫が唇を寄せる。

しかし僕は頑なに唇を閉じた。

何度目であっても水中と云うものは微かな恐怖を感じさせる。陸(おか)で生きてきた僕にとって、呼吸が出来ないと云うことはまさに死活問題である。

僕の僅かな逡巡を読み取った人魚姫は、その噛み合わせを深くした。


『大丈夫だよ、レオン』


脳内に直接響く柔らかな絹の声に促され、漸く薄く口を開く。密着した粘膜の中には余計な水分は入ってこない。

重力に従い、事実上下向きの口腔内から、唾液に因って中途半端に分解された液体が流れ落ちる。

人魚姫は、やや消化されたゼリーをうっとりとした表情で飲み下した。

それを確認すると、人魚姫の腰に回した両腕に力を込めて引き寄せた。

ぴったりと躰を密着させて、体位を入れ替える。

そして大きく口を開け、力を抜いて己の舌を差し出す。


『後は自分でなんとかするんだ』


そう言って突き放せば、其れは自ら舌を絡めてきた。

僕の口内に残る甘味を全て嘗め取る様に、丁寧に。


〈そう。それでいい〉


まだ教え込んだやり方をなぞるだけのキスはぎこちない。

しかし2体の間を往復する酸素は次第に薄く、少なくなり、酸欠の躰は水槽の底へと沈んでゆく。



落ちて


墜ちて


堕ちて



思考が止まる。

感覚だけに身を委ねる。



背中に硬い感触。

全身に掛かる僅かな圧力。

頬を包む小さな熱。

下層の水はいつも冷たい。



溜まった唾液を嚥み込む。



閉じた眼を薄く開けば、鏡の貌も僕を見ていた。

歪な闇に煌めく藍色だけが現実(リアル)だった。



視界が霞む。

酸素が足りない。

金縛りの様に躰が動かない。

思考出来ない。



フェードアウトする意識。

ブラックアウトする視界。



鮮やか過ぎる藍色だけが網膜に焼き付いて。



もう、何も















ワ    カ    ラ    ナ    イ































































人 魚 姫 の 檻
























































080808

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